小賀武志 敵撃退数 映画「二百三高地」
- 2016/01/04
- 19:29

小賀武志
職業: 小学校教員 → 大日本帝國陸軍予備少尉 → 中尉

俳優:あおい輝彦
劇中映像内で確認できる戦果
ロシア兵:5人
武器と内訳: サーベル 4 柔 1
計:5人
本編184分: 0.02殺/分
アレクセーエフ「日本兵四人にロシア兵一人で沢山だ。・・・猿め!!」
日露戦争における激戦の一つ「旅順攻囲戦」を中心に戦争の趨勢を描いた戦争映画です。
教員から徴兵によって陸軍の士官となった小賀武志少尉と、旅順要塞攻略を手がけた乃木希典大将をはじめとして、様々な立場・境遇の将兵達のドラマを濃厚に、かつ多面的な構成によって中立的に映し出し、さらに日本の存亡を賭けた国家一大プロジェクトととしての日露戦争、その様を素晴らしい完成度で伝えることに成功しています。
軍事面をメインとし、外交や内政の様子は薄っすら描かれる程度で、
つまり、戦場での戦いを有利に進めた結果、日本が勝利したという描き方に近いのですが、
「坂の上の雲」などを見ると、実際は外交に工作など戦争を有利に終わらせる為のあらゆる手段が尽くされた戦争であって、もう少し政治面の描写も欲しかったかなと思います。
戦史に詳しい方からすると、少し物足りない部分があると思いますが、
僕個人の感想としては、今まで観てきた日本の戦争映画で一番だと思いました。
戦いの大迫力と、深いドラマ性を併せ持つ事ができる「戦争映画」というジャンルの中でもかなり優れた完成度と思います。
気軽に観るには重過ぎる内容で、しかも本編3時間の大長編ですが、覚悟と集中力を持って鑑賞するに、その価値ある映画となっています。

戦闘の描写は、東映の特撮技術により迫力大で、
日露双方に多大な犠牲者を出した彼の地の地獄の様な戦いの様子を、迫真の再現度で完成させています。
旅順要塞や、大砲、軍艦に至るまで様々な種類の兵器を、しっかりと描写しており、スケールのデカさも抜群です。
戦争映画では、メインとするキャラクターを「兵」か「将」に絞っていくことが多いと思うのですが、本作では前線での兵士の苦悩と、後方での指揮官の葛藤、両方に焦点を当てています。
特に、名将・愚将の評価分かれる乃木将軍の描写は丁寧で、
将たる者のみが味わう、苦渋が見事に表現されていて、観ていて胸に響き、確りとこちらに伝わってきます。
兵に対して距離の近い乃木将軍に対し、
政治的な面をも考慮し、大局を見ることが出来るからこそ、犠牲を省みずに戦いを推し進めんとする児玉源太郎との対比も見事です。
児玉元帥は、兵士をただの数字として捉えるような、
一見して非情ながら、しかし結果として勝利をもたらす事ができる人物として描かれています。
まるでブラック企業の上司のような、激情・精神力型のオヤジに見えて、実は合理的に勝利を目指している指揮官です。
戦争において、これが将の器なんだろうなと、考えさせられる所でした。
そして、劇中で描かれる中で、
開戦の前より、自身の命を賭けて事に当たらんとした”漢”の一人であることを忘れてはいけないでしょう。
映画の内容を戦の悲哀のみに染め上げることなく、戦争の遂行や男らしい絆をちゃんと描いているので、その点も優れていると思います。
昨今の太平洋戦争をテーマにした戦争映画はみな似た様な内容が多くて、少し食傷気味だったのですが、
「二百三高地」は過去の作品ながら新鮮な感じがありました。

日露開戦は明治37年で、
これは、頬に十字の刀傷がある浪人が活躍していた時期からたったの20年後そこらの話であり、新撰組だなんだといっていた幕末からは40年程度を経た時期になります。
伊藤博文、乃木希典、児玉源太郎をはじめとする、日本の指導者達は幕末を志士として戦った「侍」達であったりして、めまぐるしく様相を変える日本という国の歴史の面白さ、浪漫を感じずにはいられません。
ほんの前まで腰に刀を差し、海外との交流を断っていた我が国が、世界最強と目される「ロシア帝国」を敵にするにあたり、
「勝つことは出来ないが、負けないように戦うことは出来る」という綱渡りのような状況。
当時の国力の差は、
年の国家歳入ではロシアが20億円なのに対し、日本は2億5千万円。
兵力差は、ロシア300万人に対し、日本は総兵力20万人らしいです。(ロシアが300万人全て東洋に差し向けることは不可能ですが)
大きな白熊に、痩せた狼が戦いを挑むが如き熱さ。
そして、不可能を可能にするために支払われる犠牲の多さを、この映画は描き出しています。
主な出演者は、
伊藤博文:森繁久彌
乃木希典:仲代達矢 その妻 静子を野際陽子
児玉源太郎:丹波哲郎
明治帝:三船敏郎
ヒロイン松尾佐知を夏目雅子と、キャストの方も総力戦となっています。とんでもない映画ですよね。
監督:舛田利雄
脚本:笠原和夫
制作国:日本 1980年
- 関連記事
- テーマ:邦画
- ジャンル:映画
- カテゴリ:・アクション/冒険/戦争
- CM:0
- TB:0